徐堅の恋


その場で思い付きで書いてるので文章変です。あとシュミレーションなので三国志と捕らえないで下さい。混乱します。


ずっと憧れていた、幼い時からずっと………。
優しい白い手が優しくほほをなぜてくれたときから、そして美しく微笑んでくれたときから。
どんな形でもいい、あなたのそばにいたい。
あなたを見つめていたい。
二度と手に触れられる人でなくとも、ずっとそばにいられれば満足だから。

☆★☆

「徐堅、きいたか、周愛花が孫策軍をつぶしたってことを」
俺は親友のことばに歓喜と複雑な思いがあがる。
また愛花さまが自ら兵をおこし、勢力を平定した。
彼女は15才から主君をしている。
ことしで40は越えているというけれど、挙兵した当初から容貌はかわらなく、美しいと聞き及んでいる。
人は
――戦の女神か化物か……と噂する。
「さすが、化物にはだれもかなわないか」
「ばけものじゃないっ、女神だっ、」
「おまえ愛花のことになると食って掛かるよな」
こぶしをふりあげ訂正をもとめる俺を制して苦笑する親友をバツがわるく一瞥する。
遠くで何をしている、手を休めるなという声が聞こえた。
おれたちは叔父の命で畑仕事の手伝いをしていたのだ。
農作業の手伝いをしながらまたはなす。
「潰したんじゃない。孫策のやつが平和を破棄したんだろう。
愛花さまは……楚公はずっと孫策とはなかよくしていきたいとおもっていたのだから……」
「同じことだろ? まあ、孫策も愛花の傘下にはいって長沙あたりも戦はもうおこらんだろうなぁ……
噂によると孫策は愛花の色香にまどわされたとかいろいろ………ってあれ、
徐堅なんでいきなり真面目に畑をたがやしてんだ」
「聞きたくない。愛花さまはそんな人じゃないもの」
「おまえね……そんなに愛花愛花っていうならまじかでみてみろよ、お前の想像崩れるぜ」
呆れ半分で俺をねつめる彼にいってやる。
「あったことある」
「なに!」
「小さいころだけどな」
「それだけババ……」
「なぐるぞ! 彼女は女神だ。美しく強くて…それに優しかった。
俺が賊に襲われた時助けてくれたんだ。
鉾をもち、馬上で薙ぎ払い……恐怖で壊れた俺の心をあの人は白い手で癒してくれたんだ……」
「ふ〜んだからおまえ愛花にほれてんだ、
だが何年前のはなしだよ。お前だっていいとしじゃないか」
「う……」
いまから十年前の話だとはいえない。
いま俺は18で愛花さまはあのとき35才だったのだから。
でも年なんて関係ないじゃないか、そ、そりゃ相手には20になる娘がいても……いても………。
…………ただそばにいられでばいい。
ほかには望まない。
★☆★
愛花軍の猛進は続いた。
仲のわるい、劉宗を下すため西に進軍を開始した。
孫策が同盟を破棄していなかったら、
もう劉宗軍など存在などしなかっただろうが、
無謀にも大陸の殆どを統べるようになっていた愛花軍を孫策が
同盟を破棄したおかげで今までいきのこっていたが。
それに長安を先取していたこともあり愛花軍も苦戦をしいられていたるもした。
そこで長安で戦ばかりしていてもしょうがないとおもったのか、
張櫓を攻めその地から城壁のないところから攻めることにしたらしい。
俺はよろこんだ、なぜならば俺が住んでいるのは西だ。張魯が治める土地なのだから。
愛花軍がその地を占領し即座に俺は彼女の側にいたくて知り合いに頼んで衛士にしてもらった。
そこで彼女にあえるとおもった。
けれど彼女は忙しいのか家にはなかなか帰ってこないという。
すこし残念だったがいつか巡り合えるとおもい彼女の家の番をする。
それが俺の仕事でもあり天命でもあるんだ。
………そう思い込まないとやっていけないという思いもなくはなかった。
秋になった。仕事もなれ人々と親しくなりはじめた時だ。
「お館さまがお帰りになったぞ」
そんな歓喜が家中に響いた。
おれはハッとして彼女に会いに門に向かう。
そして彼女の姿をみて息が止まるかとおもった。
あのころとかわらなく美しく、かわってない。
あの時のまま。あの時の笑顔。
胸が急になにかに満たされる。
そして現実としては眦から涙が伝った。
――愛花様……!
彼女の衣服は紅色の美しい衣そして銀糸で大輪の花の刺繍がほどこされていた。
幼いころあった時は男物の衣をきていたけれど、身から放たれる人を惹き付けるものはかわらない。
出迎えた手伝いの頭を優しくなぜて、彼女は微笑んだ。
「いまかえった、異常はなかったか?」
「はい愛花様、とっっても帰りをまちあびていましたv」
「そうか、これからも苦労をかけると思うが……ん?」
愛花さまは泣いている俺に気付きそばによってくる。
必死に涙を拭おうとするけれど、溢れる思いとともにとまらない。
叱られる…男なのにないて…。
けれど、愛花様は首をかしげ、俺の頬に触れた。
「情けない、泣くではない、男だろう?」
優しい叱咤に俺はとっさに彼女を抱き締めてしまった。見られたくない、そして触れたい。
本当にあの時の女神なのかを。
彼女の香りは幼い時包んでくれたものと同じだった。
「なんなのだ、このものは?」
呆れた声が聞こえた。
ハッとして俺ははなれ、地面に額をつけて誤った。
「す、すみません! 無礼を」
「ほんとですわ、新参者の癖にっ、」
「そうおこるな。なにか悲しいことがあったのだろう。少しは治まったか?」
「もう、愛花様はやさしいんだから」
「して、そなたは名は」
「ハッ、徐堅と申します」
「徐堅か、どこかで見たことがあるが、思い出せぬ」
首をかしげていった彼女の言葉に喜びがまた浮かぶが。
「愛花!」
男の声が愛花様をよびとめた。
愛花さまは顔を笑みにほころび、その男のもとに駆け寄る。
「昂義兄!」
その彼女の笑みは幼くみえた。
呆然と彼と彼女の会話を見つめる俺に、手伝いが意味ありげな笑みで肘でつつく。
「あれは安部昂どのよ。
遠奇汀さまと愛花さまの義兄にあたる方ですわでも、彼は愛花さまのことを好いているのはみえみえですわね。
もういい年だしそろそろ正式に婚儀をあげるのではないかしら?」
「そんな……」
沸き上がる思いはいつしか嫉妬という思いに名を変えた。
☆★☆
愛花さま………そうか、結婚はなされていないけど子供いるんだよな……はあ……
もしかしたら昂どのとの……?
義兄弟だから正式には公表してなかった……とか。
あり得る。
やる気が起きなく、門のそばで青い空を見上げていた時だ。
「そなたか、愛花をみてなみだしたというものは」
「は、はい!」
慌てて居住まいをただして、返事をしてしまった。
いって、何が「はい」だと自分を強く叱咤した。
そしてよくよくみると、安部昂だったのでおどろいた。
恐縮し敬礼する俺を制して苦笑した。
「君は正直だな」
「………」
「顔にもでている、お主わしと愛花のなかをうたがってるようだが」
「………なんでわかったんですか?」
「ひとのこころが読めるとでもいっておこうか」
 良く分からない人だ。
不適な笑みをうかべて、
「俺は愛花とは兄弟だ、妻も娘もいる。妻は愛花の姉だ」
「え?」
「よく間違えられる。
こないだも孫策と仲がいい愛花に嫉妬して孫策を殺したいとおもってるとか、実は愛花の娘はおれとの子ではないかとな。
でも違うからな」
「そ、そうなんですか…………よかった。
でもどうしてそれをおれになんかいうんです?」
「なぜか、はなしやすいのだ。不思議とな」

☆★☆

昂どのがかえっていったあとだ。
血相をかえて親友があらわれたのは。
あがる息の絶えまから紡がれる言葉は聞きにくい。
「徐堅、おまえの母上が!」
「母上がどうした」
「病に倒れた!」
――なんだって!
俺は同僚に理由をつげて家に戻った。 

平定されたばかりで税が重い。
治安や商業などがうまくいっていなく、
徴兵もされ働くものがいなくなりその下で食べてゆけない者たちがあふれる。
愛花さまが直接おさめるこの地でもそうだった。
平定されたばかりとは言えいろいろと問題が片ずられていない、これからだ……でものんびりしてられない。
「母上、大丈夫ですか?」
なんとか目をさました母の手をさわって心配にのぞく。
母上は安心と不安に目を細めた。
「なんでお前がここにいるんだい? お暇を……?」
「そうじゃない。倒れたと聞いてとんできたんだ。あんなにあった食料はどうしたのですか?」
「賊にやられたんじゃよ……ほかのところもあれておっただろう。わたしは寝台の下に隠れててへいきだったんだが…他は娘がさらわれたりした」
「賊…」
「そう恐い顔しないで…無事だったんだし、愛花さまが退治してくれたそうじゃ。」
 愛花さまがおそかったのはそのためだったのかと納得する。
彼女は賊がでるとその場にいき壊滅させてくるのだ。一人で。
強い女の人だとやっぱりおもいそばにいたいと思う。でも。
「ああ、お前そろそろ身を固める気はないのかえ?」
そう母にいわれて、あわてて左右に首をふる。
「いや、俺はまだ………」
視線を地面に流す。
愛花様のもとにいられるだけでいい。
ほかの女なんでいらない。
そう母にいうことができない。
母上ははやく孫の顔を見たいのだろう。
でも…。
いろいろ考えていたら母上はくすくすわらって、いう。
「お前は正直だな。すきな人がいるのだろう?」
「…………うん」
母上はそれ以上いわなかった。
そのまま疲れたのか目を閉じて寝てしまった。
もとから病弱な母だ。しかも目がほとんど見えない。
一人でここに残しておいても気が気じゃない。
どうしたらいいか。
「……………あ」
兵糧庫………。
たくさんの物資が食べ物がそこにある。
そこから少しだけでも、皆のために母のために……。
けれど
罪になる。牢にいれられる。……見つかれば。
だけど密かにすこしだけ持ち帰れば……。
「俺、戻る。すぐに戻るけど…」
「戻るけど……?」
「ううん、なんでもない」
ほほえんで家をでていく。

☆★☆

「たしか、このへん、これかな?」
いろいろ物色してみるがこう暗いとどれがどれだかわかない。
感触からして草だが、なんとなく違う。
はやくしないと見つかる、そんな焦りからなおさら見つけられない。
そのときだった。
「なにをしている、おまえ!」
――やばい!

「徐堅、どうして兵糧庫に!」
――やばい!
詰問の声に俺は持てるだけの食料をもって駆け出す。
説明をするのも面倒。……すでに罪をおかしているのだから。
せめてこれだけを皆に……母に!
足には自信があった、相手は甲冑をみにまもって動きが鈍い。
このまま逃げ切れれば……。
けれど、目の前に衛士がいて逃げ場がない。
これまでか。
あきらめ、立ち止まる。ここで抵抗するだけ無駄だと判断したからだ。
「徐堅……」
怒りと困惑のまじった視線と声音、俺は唇を噛み締めた。
「屯所で説明を聞こう」
手枷をかけられ、屯所につれていかれるところに。
「なにか騒がしいか…なにかあったのか?」
「主君!」
「愛花様……!」
愛花さまが騒ぎをききつけそばにかけてくる。
「徐堅ではないか。このものは吾が家の衛史だ、なにをしたのだ?」
「は、このものは兵糧庫から食料をもちだしたのです」
「たしかに兵糧を盗むのは罪になる。
だが、この者はなんの理由もなく盗みをはたらくようなものではない。
なにか理由があるのではないのか?」
俺は彼女の問う視線に答える。
「お願いです、この食料を母のもとに置いてくる時間をください!」
「だまれ、ご前だぞ!」
「俺の村は賊におそわれ、税も重い! 
みんな食べるものがなくて困ってます!
 母は目が見えずひとりで暮らすのは困難です、せめてこの食料だけでも母に届ける時間をください!
必ず服役しにもどってきます!」
俺は彼女を見つめた。彼女はしばらく思案してうなずきにっこりと微笑んだ。
「………わかった。では私が監視としてついていこう。お前達手かせをはずしてやれ」
「しかし…」
「外せ」
「は…っ」
 鋭い威圧感のある声に従い手かせをはずす。そして愛花さまは俺のそばにより、食料を半分持つ。
「家はどこ? 早くいこう」
「あ、そんな俺が持ちます」
あわてていうが、
「持ちきれないでしょ」
さきほど、兵士たちに命じた威厳はきえさり、優しい笑みをうかべ、兵士達にも自分の持ち場に戻るように命じる。

★☆★

驢馬に食料をのせるだけのせて、二人で手綱を引きながら村まであるく。
馬でいくより自然だということと、歩きたいと愛花さまがいったのだ。
彼女はあたりをみつめなにか考え深気に視線を巡らせる。
そんな愛花さまを俺は見つめていた。
本当に40を過ぎているのだろうか……?
容貌もほんとうに俺とかわらない、
いやそれより下にみえる。
おもってたより華奢の体格で世になだたる武勇の持ち主には見えない。
そして良く見ると彼女の目は深い青の瞳の色だ。
「なにじっとみているの?」
「あ、すみません」
「あやまることはないだろう? まあだまっていくのは暇だな。なにか話ながらいこう」
「は…っ」
「そうかしこまらなくていい…いいよ。それとそなたの村で様付けしないよう。ばれたら大騒ぎだからな」
「しかし…」
「これは命令だ、従え」
「はい!」
「よし」
にっと笑い。青く広がる空、風景を順にみつめて愛花さまはいった。
「私は江東の生まれなのだけど、やっぱり中華は広いな。
さまざま景色が違う。こうしていろいろなところへ赴くのは好きだが、すこし故郷が恋しいときがある」
「俺も愛花さまの故郷にいってみたいです」
「戦が収拾がついたらかえるつもりだ。
もしなんならつれていってもいいが徐堅には母御がいるだろう?」
くすくすとわらっていう。たしかに母のことがあるけれどどちらかをとれと選択をせまられたら……。
「俺はどこまでもあなたもついていきます」
「まあ嬉しいこといってくれる」
くすくすと少女のようにわらった。でもそれは冗談だととらえらているのかもしれない。
 少々複雑な思いをいだきながら村についた。

母上はおれ達の姿をみると目を数度またたき、ほほえみをうかべかけよってくる。
説明するよりはやく、
「まあまあ…そなた嫁をつれてきたんだね」
母上は勘違いしてそういった。
「えっ!」
ちがうと、いう前に母上は愛花さまの手を取っ手うれし涙を流していた。愛花様もどう答えようか困惑していたが、
「ええ、義母上さま、わたしもあいとうございました」
と深く頭をさげる。
――愛花様!
驚くおれを横目に、
「この人から義母上さまが病にかかられたときき驚きましたわ。なんでももうしてくださいませね」
優しく微笑んで母のしわれた手に白い手をかさねた。

☆★☆

「すみません。母が勘違いして……ちゃんと説明をしますから」
「いいじゃない。このままでも。お母上をがっかりさせたら可哀想よ」
そういいながら厨で料理をはじめる愛花様。俺も手伝う。
彼女の料理は手慣れたものだった。
「いま薬草をいれた粥をつくっている。于吉からおそわったのだ」
「あの于吉仙人に!」
「そうおどろくことない。彼のおかげでだいぶすくわれていてね。それから…」
彼女はいろいろしゃべりながら、挙兵した当初のはなしやら趣味のことをはなしてくれる。俺もうなずいたり相談したりして楽しく料理ができた。
……夢のようで現実。幸せを噛み締めていた時だ。
「っつ!」
「愛花様!」
「よそみしちゃった」
包丁で指をきって赤い雫が手のひらをつたう。
おれはその血をあわててなめた。
「ちょ、」
「……」
「はなせ、徐堅っ!」
彼女はおこって手をふりほどき外にでてしまった。
俺は出ていく彼女の姿を見つめて、失態に前髪を掴んだ。
………なにやってるんだ、俺!
どうしてあのような行動に出てしまったのだろう。愛花様もおどろいただろう。
血をなんとしでもとめたかった……いや触れたかったのだ。
なんて、……バカ。

☆★☆

一緒の部屋で寝ることになっておれはどきどきした。
よけいなお世話だが母が夫婦なんだから一緒の部屋で寝ろいったおかげだった。
夜はふけ、明かりは燭台だけのほのかなあかり、相手の顔は薄やみになれないと見えない。
しばらくふたりとも黙って寝ていたが。
「愛花様、すみません俺……」
詫びようとおもって呼び掛けていた。
「とっさのこととは言え…」
「いい気にするな」
その声には自嘲がふくまれていた。
「それよりお前は私のことをどう思う。ずっと聞いてみたかった」
「え?」
「私を………化け物だとおもうか?」
「いいえ。どうしてそんなことを?」
俺はおもわず彼女をみる。
彼女はおれの女神、美しく強い。
そんな彼女が……そんなことをいうなんて正直驚いた。
「私自信不思議でならない。
年はとならい、成長もしない、漢王朝復興という大義名分をかがげて他勢力を平定しいるが
…平和のために戦っているといいきかせ……
でも実は血だけを求めているのだ。そのせいだろうか、私の手はいつも血の色にそめられ、生臭い血のにおいがまとわりつく」
「そんなことはないです。
愛花様の手は優しい手をしています」
「しらないから、そんなことをいうのだ。徐堅は人を殺したことはあるか?」
「……………いいえ」
「私は8才のとき人を殺した。賊に襲われて、とっさに手に持っていた匕首を相手ののどに突き刺した感触はいまでもおぼえてる。
そのから吹き出した血も、温もりも……」
俺は彼女が震えてかたっているのだとしった。
俺は彼女に近きだきしめた。拒みはしなかった。抱き締めると彼女のふるえが強く伝わる。
「いつも…夢に見る。殺した者が私の肉を剥ぎ血を求め私というものをもぎ取ろうとする……私はそれが恐い…」
「その夢から俺が護りたい。……だめでしょうか。俺では役不足ですか」
「徐堅?」
「俺は、あなたのことが好きです。
あなたのために生まれてきた…というのは自信過剰でしょうか?」
「私のために?」
不思議そうに俺を見つめる愛花様の唇を奪う。
遠くでみつめていればいいと思っていた。
けれど、いまこんなに近くにいる。
遠くでは感じることのできない温もり、気持ち、はっきりした声……。
それをそばで感じたいとひとりじめにしたいと思うのは罪なことだろうか?
けれど求めずにはいられない。
――貴女しかいらない。
「我愛称……(あいしてる)」

★☆★

「徐堅が私の血をなめたとき、同じ悪鬼にしたくないと思ったのだ」
愛花さまは衣服をまとい乱れた髪を整えながらとつ…と告げた。
「私の血は人と違うから。
だからそのとき恐ろしかった。私と同じにしてしまうとおもって」
「同じでは、いけないのですか……俺は、愛花様とともにありたいだから…」
手をのばして抱き締めようとするを愛花様はさけた。
「同じようにいってくれた人がかつていた。でもそのひとは不幸になった。だから…」
「え……」
「私の身替わりになったのだ。……18の時……ひそかに一人の兵士に恋をして、愛しあった。
でもそれは秘密の恋で義兄や義妹にも内緒にしていたのだ。
けれどあるとき戦に破れて退却するさいあの人が私の身替わりとなって死んだ…一人の娘をのこして…。徐堅…お前はあの人にそっくり」
淡く微笑んでそういった。
同じ目に会わせたくないと彼女は思っている。
確かに愛花様が戦の時危機にあったら俺もそうする。
だけどそれは彼女を悲しませるだけだ、なら……。
「俺は違う……!」
「徐堅?」
「俺はあなたの還る場所になりたい。
心安らぐ存在になりたい」
愛花様は目をすうど瞬き言葉をどう紡ごうか考えるが声が出ないようだった。
「俺は本気であなたを愛してます、だから……」
どうかそばに……。

☆★☆

「明日戻る。母御の体調もよくなったことだしな」
愛花様はそういい、母上のところに粥をもって労りのませてくる。
当たり前の光景になりつつあるのに、それは偽りだと宣言する口調のようで虚しさににたものが心に広がる。
夫婦を演じるのも今日で最後ということになる。
もう俺の手の届かないところへ、戦へ戻ろうとする。
ここ数日間本当に夫婦になった気持ちでいた。
戦もなく平和な日々、皆に祝福され幸せだったが、それは偽り。
すべて演技だのだから。
でも
……行かせたくない。
そんな思いはある。
けれどそんなことはできるはずはなかった。
………愛花様はあのとき答えてくれなかった。
そばにこいとも、一言も。そして否ともいっていない。
明日俺はどうしたらいいのだろう。

徐堅の恋その6
「では、私はこれで失礼いたします」
愛花さまは別れ惜しく憂いの混じった表情をうかべ、拱手をした。
母上は驚きに目を瞬く。
「息子をおいてどこにいくのだね?」
「…………」
愛花様はだまって視線を地面へそらす。
困っている証拠だった。
彼女は困っていたり当惑すると視線を落とす癖がある。
俺はなおも問いつめる母上に説明を試みた。
「母さん、じつは……」
説明をうけると母上は驚愕をあらわに、いままでの無礼を告げようとする。
「そんなに謝らないでください、本当のことをはなさなかった私がわるいのだから……」
「けれど……」
「私もあなた方と過ごした日々は大変充実しました。戦を忘れ一人の女に戻れたのですから…感謝します」
また深々と愛花様は頭をさげた。
「愛花様……」
俺は合わせの衣を掴んで彼女の言葉を噛み締める。
一緒にいたい。でも彼女はそれを許してくれるだろうか。
否とも是ともいわなかった。
「愛花様、俺!」
「徐堅、母御前を大切にせよ」
にっこりとそう愛花様は告げた、否と。
つれていってくれ、という言葉は寸前でとまった。
愛花様は俺の傍をはなれることを決めたのだ。
俺は気持ちを押さえるためにかたい拳を作り笑みを浮かべ別れの言葉をいおうとしたときだった。
返しかけた踵を愛花様はとめ、少女のような笑みをうかべた。
「徐堅……あの言葉の返事してなかったね」
「え?」
「やっぱり共にきてほしい。母御前とともに。私が私でいられる…還る場所になってほしい」
白い美しい手を俺に差し出してくれた。
俺は驚き、でも嬉しいおもいが込み上げ愛花さまの手をとり引き寄せた。


後書きへん


これは02年秋ごろに日記の方でかいた即興小説なのでほぼ、直しを入れてません。 内容的にはコーエー・シュミレーションゲーム『三国志8』のオリジナル武将プレイ・主君編です。 だんなゲッチュー目指してプレイしているのになかなかそう言う出合いがないまま、愛花ちゃん一子もうけてしまい、40半ばで結婚いたしました。すっごくわかい彼と。 わ〜…これは面白いのがかけそう! ということでかいてました。 ちょこっと掲示板の方に感想などなどくれるとうれしかも。 けっこうこの二人は気に入ってます。 愛花ちゃんのもと旦那きになりますけど徐堅とは違ったタイプです。 多分傲慢で横柄で女ったらし。 若い愛花ちゃんは自分のこと好きなのかどうか不安でやきもきしてた。 でも戦のとき、死を覚悟した愛花ちゃんをたすけて

「お前のつくる国がみてみたい、だから死なせはしない!」 「陽基……」 「お前がすきだ……俺がお前をまもってやる、すべてを敵にしても、俺だけはお前の味方だ。……ふ、なんせ世界で愛しい女だからな」

な〜んて人がいいかも……。 どうおもいます?
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